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という喜びの意味が込められている。
蘭丸は光源氏の歌を返して、己の愛情を胡蝶に伝えたのである。
胡蝶の小さな心の中に、優しく、暖かい感情が広がっていった。
胡蝶は思わず、自分の身体の前に重ねられた蘭丸の腕に触れ
「……蘭丸様」
「はい」
「この歌を私にげるのは、可笑しゅうございます」
「そうですか?」
「私と蘭丸様は…その…、まだ睦みうてもいないのに」
「されど、いずれはそうなります。上様が、許して下さればですが」
「ならば、一生無理にございましょう」
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蘭丸はそう言って微笑むと、やや間を置いてから「それに」と続けた。など共にせずとも、こうして姫様と寄り添っているだけでも、今の某には有り難く、幸せなことでございます故」
高望みは致しませんと、胡蝶のうなじの上で蘭丸はゆっくりと首を振った。
胡蝶は紅潮した面差しを、静かに蘭丸の方へ振り向ける。
「ならば、蘭丸様もはっきりとせ下さいませ。蘭丸様は、私のこと…」
「無論、好いておりまする」
「おが、いらない程にですか?」
「妾どころか、あなた様以外のはいらぬと思える程に」
「…それは、言い過ぎにございます」
「ええ、言い過ぎました」
蘭丸と胡蝶は目を見合せ、やがてけたように笑った。
何やら胡蝶は、から解放されたような、実に清々しい気分だった。
「──蘭丸様」
「何でしょう?」
「私、もうい事を口にするのはやめまする。織田信長の娘として、斎藤道三の孫として、
そして何より、あなた様の未来の妻として、強く、誇り高い人間でいられるように」
その決意的な言葉に、蘭丸は顔をばせながら
「ご立派なお心意気にございます」
そう言って、深く頭を下げると
「では、そのお心意気が揺るがぬよう、某から姫様へを差し上げましょう」
目尻に細かい笑い皺を寄せて言った。
「贈物…でございますか?」
「はい。せっかく致すのです、姫様の為に京で何か求めて参りましょう」
「そんな、お気をわれますな」
「構いませぬ。何か欲しい物はありませぬか?」
「何もありませぬ」
「ご遠慮なさいますな。あまり高価な物はお贈り出来ませんが」
「いえ、遠慮ではなく…」
胡蝶はいがちに、隣室をした。
今いる御居間の中もそうだが、隣室も寝室も、信長から贈られたきらびやかな調度品であふれている。
表の納戸も信長からの贈物でぎっちりであり、必要な物は全てっているとしか思えなかった。
蘭丸もそれに気付き、「あ…」と苦笑する。
「申し訳ございませぬ。そうでございますよね…。上様が何もかも、揃えて下さっていますよね」
そう恥じ入ったように言うと
「馬揃えの折のお衣装のお返しが、まだ出来ておりませなんだ故、せめて京土産をと思うたのですが…」
考え無しにございましたと、蘭丸は寂しそうにった。
すると胡蝶は、に蘭丸の腕から放れ、彼の方に向き直ると
「左様な理由であるのならば──致しとうございます。蘭丸様の京土産」
と屈託のない面持ちで言った。
「そんな、良いのです、ご無理をなさらなくても」
「無理などしておりませぬ。蘭丸様が、私へのお気遣いから下さるお土産ならば遠慮も致しますが、
私への返礼のお品ということであれば、こちらも遠慮はいりませぬ。──それに」
「 ? 」
「思わず断ろうとしてしまいましたが、本当は、とても嬉しかったのです。蘭丸様が贈物をして下さると言うてくれて」
「…姫様」
「ただ望む品は何もありませぬ故、土産は、蘭丸様のおてにお任せ致します」
「某の見立てた物で、まことによろしいのですか?」
「勿論でございます。蘭丸様が選んで下さった物であれば、な物でも大切に致しまする」
胡蝶はそう言って破顔すると