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domoto63

確かになと三津は思った

確かになと三津は思った。上の人間を毛嫌いしてるような高杉だが桂の事は慕っている。

京に現れた時も乃美の言う事は全く聞かなかったし,なんなら喧嘩を売るぐらいの勢いだった。

その相手が桂に変わると噛み付いたりはするものの,少しは大人しくなっていた気がする。

 

 

「高杉がちゃんと療養するように説得頼むわ。明日朝早いんやし戻り。」

 

 

俯いていた山縣は三津の頭をぽんぽんと叩いた。

 

 

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三津が山縣の方を向いてにっと笑えば,山縣も口角を上げた。

山縣に行った行ったと背中を押されて,三津は静かに自室に戻った。

 

 

 

 

翌朝,朝早くにおうのの家を訪ねた。本当に早い時間に訪ねたし,やって来たのが桂だからおうのは大慌てだった。

 

 

「粗末な格好ですみません……。」

 

 

おうのは整えきれなかった髪を手で撫でながら,恥ずかしそうに俯いた。

寝間着から着替えは何とか済ませたものの,慌てて着替えたから少し乱れているのが逆に色気を増幅させている。

 

 

「いえ,こんな時間に訪ねたのでお気になさらず……。」

 

 

桂と三津は深々と頭を下げて申し訳ないと謝った。それから中に通してもらい,布団の上で憮然とする高杉の側に腰を下ろした。

 

 

「こんな時間から何の用や。」

 

 

高杉は欠伸をしながら体ごとそっぽを向いた。

 

 

「晋作,実際どのぐらい辛い?」

 

 

桂はそんな態度は気にも留めずにいつもながらの冷静さで問いかけた。

 

 

「別に辛くない。」

 

 

「そうか。血を吐く頻度は?」

 

 

「そんな多くない。」

 

 

『素直に答えてはる……。』

 

 

そっぽを向いて不機嫌そうにしながらも桂の問いには淡々と答えていく。桂にはやっぱり素直だ。これが自分や入江や山縣が言おうものなら,放っとけの一言で突っぱねられたに違いない。

 

 

『小五郎さんの事は信頼してはるんかな。』

 

 

ただ懐いているのではないなと思いながら静かにやり取りを聞いていた。たまにおうのに目をやると,落ち着かない様子で高杉と桂を交互に見ていた。

 

 

「じゃあ,萩のご家族に連絡は。」

 

 

「しとらん。」

 

 

その返答に桂は深い溜息をついた。三津もやっぱりかと盛大に溜息をつきそうになったがそこは堪えた。

 

 

「言いたくない気持ちも分かるが連絡は絶対にしろ。それと医者の言う事は聞け。」

 

 

高杉は顔を背けて無言を貫いた。そんな高杉を桂は真っ直ぐ見つめた。三津はその姿に,京に居た頃に見た桂の威圧感を感じた。

 

 

『普段お勤めしてはる時は常にこの感じなんやろな。』

 

 

それからふてぶてしさ満載の高杉にも目をやった。

 

 

「高杉さん,奇兵隊の皆さんにはこの事黙ってます。だから九一さんや山縣さんと来る時も細心の注意を払うので安心して下さい。」

 

 

それを聞いて高杉の目が三津の方へ動いた。その目が別に来なくていいと言いたげで分かりやすいなと笑った。

 

 

「そんな迷惑そうな顔せんとって下さいよ。暇やから遊び相手居た方がいいでしょ?」

 

 

三津はにっと笑った。すると高杉のじっとり睨むような目が驚きに変わった。

 

 

「はっ!ははっ!遊び相手か!!そうやな,床の相手もしちゃるわ。」

「おうのさんを前に何てこと言ってんだ変態め。」

 

 

三津は思わず半目で睨んだ。その顔を見て高杉は更に笑った。三津はその様子に表情を緩ませた。やっぱり人の笑顔には安心する。

 

 

「そしたらまた遊びに来ます。小五郎さん,そろそろ……。」

 

 

「そうだな。おうのさん,晋作をよろしく頼む。」

 

 

桂に頭を下げられて,おうのはそれより低く,畳に思い切り額を押し付けた。多分高い鼻は潰れてるなと三津は思う。

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