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domoto63

「おれを一人にして

「おれを一人にしてくれるな。かっちゃんや源さんが逝き、総司と新八、左之と平助はとおくにいる。いまや、昔からの仲間といえば斎藤だけだ。島田や勘吾も助けてはくれる。だがな、おれには助けてくれる

 良三は、

「が一人でもおおく必要なんだ」

 

 驚くべきことに、これまで泣き言っぽい言葉をいったことのない副長が、そんなことをいきなり口走りはじめたのである。

 

 こ、これは……

 

 思わず、額頭紋消除 天をみあげてしまった。

 

 隕石が落ちてくるとか、太平洋沖にあるプレートが動きまくるとか、八百六年に噴火してからまともに噴火していない磐梯山が噴火するとか、未曽有のなにかが起るかもしれないと思ったのである。

 

 ちなみに、磐梯山の噴火であるが、厳密には1780年代に水蒸気噴火らしきものがあったかもしれないらしい。それ以降となると、1888年に五百名ちかい死者をだす水蒸気噴火がおこることになっている。

 

 それは、から二十年ほど後に起こるかもしれない出来事である。

 

 って、また副長ににらまれるかと覚悟したが、副長はおれをよむヨユーなどまったくないらしい。

 

 いまだを伏せたままでいる俊冬のまえで、かれをにらみおろしている。

 

 泣きながらマウンティングして、なにが面白いんだろう。

 

「あのとき新八に殴らせたが、おれ自身がやればよかったんだ。それをいま、心から後悔しているよ」

 

 副長は、まったくちがうことを語りだした。しかも、声のトーンがまったくかわり、気味が悪いほどやさしくなっている。

 

 副長や永倉たちは、板橋で近藤局長の斬首をおこなってから去ろうとする俊冬に会ったらしい。実際のところは、そのまま去ろうとする俊冬を、副長たちが強くひきとめたにちがいない。そして、副長たちは俊冬を連れ、俊冬と俊春があらかじめ手配しておいた荒れ果てた寺にいった。

 

 副長は、そこで永倉に俊冬を殴らせたのである。

 

 すこしでも俊冬自身の心の負担を軽くするために。

 

 ちなみに、そのあとにおれたちが合流したが、そのときも永倉は俊春をボコした。

 

 が、俊冬の心の負担は、そんなことでは軽くすらなっていないのだ。

 俊春がそうであるように。

 

「たま、勘違いするな。独りよがりはよせ。おれが、否、おれたちが怒っているのは、おまえたちが自身を責めていることだ。おれたちを信じてくれていないっていうことだ。おれたちを見捨てようとしているっていうことだ」

 

 俊冬の体が、そうとわかるほどびくっと震えた。

 

「そうですよ、たま」

 

 勝手に口から言葉がでていた。

 

 おとなしくて控えめなこのおれが、どうしても我慢できなかったのである。

 

「副長もおれも、それだけじゃありません。斎藤先生だって島田先生だって、蟻通先生だって、それから、ここにはいらっしゃらない永倉先生や原田先生だってそうです。怒っているだけじゃなく、悲しいんです。自分自身のことが情けないんです。たま、あなたとぽちを傷つけてしまった上に、それを癒すことができないどころか、よりそうことすらできないんですから」

 

 ずっと伝えたかったことである。会えばいってやろうと、ことあるごとにシミレーションしていたのが功を奏したらしい。

 

 泣きながらでも、言葉がぽんぽんと口からでてゆく。「たま。すべてをあなた一人で、いえ、ぽちとたまで背負うには、あなたたちの背はちいさすぎます。それよりも、副長やおれたちに共有させてください。そのかわり、おれたちもそれぞれの想いや苦しみを、あなたたちに共有してもらいます。いっそのこと、これを機にまえを向きませんか?うまくいえませんが、おれたちはまえに進むしかないんです。どんなに過酷でひどい運命であっても、進んでゆくしかない。そのためには、みんながまえを向いてなきゃいけないんです。一人でもちがう方向を向いていたら、うまく進めないでしょう?なにより、副長もおれたちも、あなたたちが必要なのです。あなたたちのすべてがほしいのです」

 

 おれよ、ちょっとまて。せっかくシリアスに熱弁していたというのに、最後の台詞がヤバかったんじゃないのか?もしかすると、なにか誤解を招くような表現をしてしまったんじゃないのか?

 

 そうか……

 

 おれってば、シリアスなシーンに慣れていない。だから、緊張とプレッシャーで自分でも予期せぬ想定外の言葉をさしはさんでしまったのかもしれない。

 

 いまから訂正できるのか?さっきの台詞はなかったことにして、最初からやりなおしをすることはできるのか?

 

 そんな焦燥に苛まれまくっている間、一人として口をひらくことはなく、動きの一つもない。

 

 静かすぎる。さっきまで騒いでいた鳥獣も、いまはひっそりとしている。

 

 おや?もしかして、おれの熱い想いのこもったスピーチに感動するあまり、最後のほうは違和感なく受け入れられたのであろうか。それとも、スルーしてくれたのであろうか?

 

 ホッとしかけたときである。

 

「しゅ、主計……

 

 斎藤がおれの横で感極まったような声音で名を呼んだ。

 そちらに

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